ルカ達は、乱闘の中、
人を掻き分けて潜入する。
最上階を目指し、
塔を駆け上がるルカ達の前に
あのハスタが立ちはだかる。
彼は強い相手と戦えれば、
それでよかった。
その為だけにオズバルドに雇われ、
マティウスを倒す事を待ち望み
この塔へと来ていたのだ。
スパーダは、前世でのバルカンの教えを
思い出していた。
「強さ」とは、制する事。
人を制し、場を制し、時を制する。
その言葉を胸に、剣を振るう。
勝敗を決し、ハスタの身体が沈む。
ハスタは空威張りしながら、事切れた。
前世の記憶そのままに生き、
何の葛藤も無く戦い続けた彼の人生は
幸せなものだったのかもしれない。